iPhoneのバッテリー交換の時に気をつけたい【バッテリーシール】について
iPhoneのバッテリー交換を行うときに気をつけたいことはいくつかありますが、縁の下の力持ち的な存在【バッテリーシール】をご存知でしょうか。
iPhoneのバッテリーは、iPhone内部にドンと配置されています。しかし、バッテリーを置くだけでは、端末内で動き回って落ち着きがありません。iPhoneのバッテリーを固定しているものがあります。バッテリーを固定しているのは、バッテリーシールと呼ばれる粘着剤です。
バッテリーシールの正体
バッテリーシールは、これまでiPhoneの進化に合わせて変化してきました。
画像はiPhoneのシリーズごとのバッテリーシールを撮影したものです。画角や表現の都合上、すべてのシリーズを写したわけではありませんが「大体こんな感じかぁ」というふうにとらえていただけると幸いです。
いずれも剣のように伸びる白い部分が粘着部分です。両面テープ状になっています。青やピンクの部分は意図しないところに粘着阻止するために用意されている保護フィルムです。各シールの末端にある黒い部分は、個人的には『掴み代(つかみしろ)』と呼んでいます。バッテリーを端末から取り外す際に、黒い部分(掴み代)を掴んで、バッテリーからバッテリーシールを引っ張り剥がすのです。
iPhone5シリーズ/iPhone6・7シリーズ/iPhone○PLUSシリーズのバッテリーシールには垂直方向の力には引きつけ力が強いが、水平方向にかかる力には、粘着部分が伸ばされてしまう性質があります。要するに引っ張って剥がれるタイプの両面テープです。しかし、ワイヤレス充電が可能なiPhoneに取り付けられているバッテリーシールは固く、引っ張って伸びる性質はあるものの、従来よりも伸びづらい性質となりました。(最新機種の分解をしづらい原因のひとつです。)
iPhone5シリーズ
iPhone5c/5s/SEのような『iPhone5シリーズ』では、2本の粘着部分でバッテリー全体を接着させます。長さは、本体背面に敷設されたボリュームボタンの配線を侵さない程度にしてあります。また、掴み代は2本をつなぐように作られているのが特徴です。取り付けの際はコツが必要で、ご自身でバッテリー交換を行ったiPhone5sなどはほとんどの場合間違った方向に取り付けがされております。(取りつけ方向を間違えても基本的には通常通り使用できます。)
iPhone6/7シリーズ
iPhone6/7シリーズはiPhone5シリーズと比較して、長めの粘着部と一本ずつに分けられた掴み代が特徴です。端末自体が長くなったため、粘着テープの部分も長くなっています。掴み代は一本ずつのセパレートになった事で、より引っ張りやすくなりました。取り付けの際も比較的難易度が低く、非常にリプレイスしやすくなりました。
iPhone○PLUSシリーズ
iPhone○PLUSシリーズはiPhone6/7シリーズよりも大きくなったバッテリーを支えるために、粘着部は3本、長さも長くなっています。バッテリー容量はバッテリー自体のサイズに依るところがあり、PLUSシリーズの長時間スタミナのあるバッテリーには、大きなバッテリーが必要でした。大きなバッテリーをiPhone端末内部で支えるためには、バッテリーシール自体の面積も増やす必要があったとみられます。シールというものは長く大きくなると、扱いづらさが増します。サイン貼りの施工業の方がきれいに看板やガラスに貼り物をしていらっしゃるのがいかにすごいか感じることができます。取り付けには慎重さと大胆さの両方が必要で、難易度が急に上がります。
ワイヤレス充電可能なiPhoneシリーズ
ワイヤレス充電が可能なiPhoneシリーズに取り付けられているバッテリーシールは、ワイヤレス充電の為の配線を避けた形状になりました。端末筐体内部で背面の中央にあたる部分に敷設されたワイヤレス充電の為の部品に粘着部が被らないように設計されています。また、粘着部のくっつきは強く、引っ張っても伸びづらいです。従って、バッテリー交換の作業が難航しやすく、難易度が高い作業となっています。
iPhone4(s)/5Gシリーズ
今は依頼も少なくなった『iPhone4/4s/5G』に使用されるバッテリーシールは、現在の物とは大きく違います。しかしながら、ワイヤレス充電が可能なタイプのiPhoneに取り付けられるバッテリーシールと似た部分もあります。伸びづらい素材であるとか、部分的な接着位置が似ています。ただし、iPhone4~5Gに取り付けられているバッテリーシールは【⚠(危険マーク)】部分を持ち、引っ張り上げて取り外すことを前提としています。最近のiPhoneのように【掴み代を引っ張って粘着部を伸ばして取り外す】という工程ではありません。
バッテリーシールの使い方
バッテリーシールの形状や材質がシリーズごとに違うことは説明できました。実際に使用した場合はどのような状態になるか、写真を撮影してみました。
※iPhone6/7の例です!他のシリーズは違う手順で取り付けたほうが効率が良いことがあります。
バッテリーシールをバッテリーに直接貼りつけ、端末内の配置ポジションをしっかりと確認した後でバッテリーを取り付けます。バッテリーを取り付けるとき、バッテリーシールの粘着力が非常に強力なことに注意が必要です。配置に失敗すると、無事に取り外すことが困難になる場合があります。配置に失敗した場合はバッテリーシールが1枚無駄になるのです。(品質維持のためには仕方のない出費です。。。)
その他のバッテリーシールに関しても、一度貼りつけが失敗すると、失敗した分のバッテリーシールは基本的に廃棄の運命をたどります。
個人で通販などを利用で購入し、予備のバッテリーシールがない場合などには『文房具の紙両面テープ』などを利用する方もいらっしゃいます。掴み代が無い両面テープを使用することは、有事にバッテリーを取り外す必要がある際、バッテリーを変形させて取り外す可能性が高くなるため、リスクを取る選択となります。iPhoneのような精密機器は、経験豊富な業者にお任せください。お値段もお手頃です。
バッテリーシールは重要
iPhoneに使用されるバッテリーシールは、文房具店ではあまり見かけないような素材や形状をしています。専用だからこその使い勝手があり、役目を果たしています。
もしもバッテリー交換を検討する際は、バッテリーシールまでこだわった店舗に依頼することをおすすめいたします。バッテリーシールがきちんと取り付けられていなければ、思わぬ不具合を引き起こす可能性が高まります。
iPhoneに搭載されているリチウムイオンバッテリーは発火・発煙・発熱を起こす危険をはらんでいます。適切な取り扱いを行う、信頼に値する業者に依頼しましょう。
スマップル渋谷本店では郵送での依頼も受け付けています。
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